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あなたの色に染められて

第34章 キミを想う

ここから先は俺と璃子の秘め事…。
口が裂けたってアイツ等には教えねぇ。

***


俺は璃子のペースを守りながら時を重ねた。

それは今まで味わったことのないようなゆっくりとした時間で

コロコロと変わる表情は俺の頬を緩ませ 笑顔に触れる度に心は音を立て

守ってやらなきゃ…なんて思ったりして

そして 夏樹さんの店に連れてったあの日 璃子からやっと伝えてもらった愛の言葉。

堪らず抱きしめたら俺の腕の中にスッポリと収まってしまうほど小さくて

涙を流しながら俺への想いを一生懸命紡ぐ姿が本当に愛らしかった。

やっと重ねた唇も柔らかくて…「苦しい」なんて言って ただ唇を添えるだけのアイツ。

もどかしいんだけど璃子にとっちゃ“ファーストキス”なんだって考えたらそれがまた嬉しくて何度も唇を重ねた。


さらに時を重ねると璃子の親友は俺にご褒美もくれたっけ。

ベンチに戻った俺の耳元で

「来週の3連休はご両親が法事で留守にするらしいですよ…。」

それは悪魔の囁きか天使の囁きか…。俺をかなり悩ませた。

だってアイツはまだ男を知らない。だから女にするにはまだ早いんじゃねぇかって。

でもあの日 付き合い始めた俺たちの関係を知らなかった佑樹が璃子に抱きついてるのを見つけて俺は心を決めたんだ。

もし拒んだら素直にやめようって。無理強いはしないって。

璃子を胸に抱きしめながら朝を迎えるだけでも構わないって。

本気でそう思ったから俺は璃子を部屋に上げた。

ピンクのエプロンを身に付けて 洗濯に料理にとチョコチョコ走り回る璃子は俺が思ってた通りの家庭的な女の子で。

カーテンレールに背伸びをしてハンガーを掛ける様は後ろから抱きしめてやりたいほど可愛くって

それから 俺のリクエストしたカレーとニンジンのドレッシングのサラダはとにかく絶品で。

あの瞬間だな…コイツが俺の嫁さんになるんだって思ったのは

そして 風呂上がり

素っぴんは恥ずかしいと言いながらも 化粧をしているときと大して変わらないその白い素肌。

俺の横に座らせれば同じシャンプーとボディーソープを使っているのに甘い香りを醸し出し

そっと唇を重ねると璃子は体を強張らせながら俺のシャツを掴んで

「本気で惚れた女を抱くと人生変わる」

…なんて 昔 誰かが言ってた言葉を思い出しながら璃子を抱き上げた。

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