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あなたの色に染められて

第37章 素直にI'm sorry


『おまえ まだケンカしてんだって?』

『うるせえなぁ…竜兄には関係ないだろ。』

あれから一週間。営業回りをした帰りの車中 璃子と仕事以外で口を利くこともなくなった俺たちを心配して兄貴は俺に問いただした。

『関係なくねぇだろ。おまえが謝ればすむ話だろ。』

それもこれもあのキャバクラ名刺問題が原因なわけで

『知らねぇよ。あいつが勝手に怒ってるだけだし。』

GWに開店する蕎麦屋と璃子が中心となって進めてる酒蔵見学の始動が間近に迫っきたのにも関わらず俺たちはまだ意地を張り合っていた。

球場で喧嘩別れした次の月曜日。いつものように駅まで迎えにいくとそこには璃子はいなかった。

何本か電車を待っても一向に現れず 心配して兄貴に電話してみるともう自分の席で仕事をしているとのこと。

仕方なく俺から昼休みに声をかけてもわざとらしくプイッと顔を背けて完全無視状態。

そんな状況が今日でもう一週間。璃子がこんなに強情だなんて思わなかった。

正直 駅に迎えに行ったらいつものように笑顔で俺の車に乗り込んで『昨日はごめんね』なんて甘えてくると思ったのに

『口も利いてくんねぇんだもん。』

『だから 謝っちゃえばいいだろって。』

『…やだ。俺間違えてねぇもん。』

俺も俺で璃子がそういう態度なら なんて意地張っちゃって。

『…ったく… 来週末だぞ?蕎麦屋の開店と見学会。』

『…わかってるよ。』

俺だって璃子とちゃんと向き合う気はある。でも あいつの態度を見てるとどうなんだか。

『おまえが「日本酒と言ったら蕎麦だろ」って言葉から蕎麦屋の話がスタートしてんだからな。もっとしっかりしてくれよ。』

『…だから…わかってるっ!』

助手席の兄貴は大きく溜め息を吐くとクスリと笑って

『おまえはガキの頃から変わってねぇなぁ。』

『…変わってるし。』

『自分がどんなに悪くても絶対に謝らなかったもんなぁ。これじゃ璃子ちゃんも大変だよな。』

結局 俺の身内までもが璃子の味方。親父だってお袋だって「京介が悪い」の一点張りで「璃子ちゃん可哀想」なんて台詞をおまけで付けてくる始末。

『頭下げないとまた寂しい誕生日になるぞ。』

『知るかそんなの。』

『本当に開店までにどうにかしろよ。』

素直になれない俺

『うるせぇよ!』

…あぁ マジで璃子不足で狂いそうなんだけど…。

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