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あなたの色に染められて

第38章 サプライズ


よいしょ…。

GW前日の朝 私は一週間分の着替えが入ったスーツケースを持ち京介さんの待つ駅の階段を降りた。

『あぁ…疲れたぁ。』

『お疲れお疲れ。やっぱ 家まで迎えに行ってやれば良かったな。』

なぜ私がこんなに大きな荷物を持って通勤したのか。

それはママが急に言い出した嬉しい一言から始まったわけで

「パパはGW全部お休みなのに璃子は仕事だなんて…。ママもGWぐらいゆっくりしたいから京介くん家から出勤してくれると助かるんだけど…。」

お互いが願ったり叶ったりなこの提案にもちろん二つ返事でOKして交渉を成立させた私たち。

明日から二人で出勤できるなんて。

それにお誕生日だってあるし…ウフフ…なんだか楽しいGWになりそう。

いつもと同じ景色の中を走るのに今日はいつもより木々の葉も小さな商店街もキラキラと輝いて見えちゃって

『ねぇねぇ京介さん。明日からお弁当作りますからね。』

京介さんにお弁当を作るのなんてすごく久しぶりで

…前回は残り物だったけど今回は栄養のバランスもしっかり考えなくちゃ。

『あっ そういやぁ兄貴がさぁ 3日は見学の予約が午前中しか入ってねぇから午後休みにするかって。』

『じゃあお弁当は要らないんですね…って…あっ!その日は京介さんのお誕生日!!』

『…だな。』

うわぁ その日だけ特別に午後お休みなんて…神様からのプレゼントなのかも…。

あっ…でも京介さんの予定が…。

『京介さんの予定は何時ごろからですか?』

『今のところ 夕方 17時すぎだと助かるけど…。』

思いもよらない竜介お兄さんからの誕生日プレゼント。

『そうですかぁ…なるほど。』

『なんだよ。』

『…なんでもありません。』

あれれれ?こりゃもしかして…そのぐらいの時間があれば京介さんにサプライズ出来ちゃう?!

スマホをバックの中から取り出して いつものメンバーから京介さんを抜いたグループをサクッと作って…と。

“3日 午後からサプライズで京介さんのお誕生日試合したいのですが 協力してもらえませんか?”

ドームのチケットは獲れないけど これならみんなでお祝いできるかも!

『…ほら…こっち。』

『ウフフ…んぅ…。』

みんなからの返信を待つスマホを握りしめながら いつも信号で捕まる交差点でキスをした。

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