あなたの色に染められて
第38章 サプライズ
『京介さん…起きて下さい。』
『…んぅ…。』
璃子の声で起きる幸せな朝
『キャッ!もう京介さんてば!』
腕を掴んで引き寄せ 抱きしめて 甘い唇を味わって
『おはよう 俺の嫁さん。』
『…もう すぐそうやって。』
しっかり着替えてる璃子とまだ下着一枚のオレ。
『なぁ 昨夜の続きしよ?』
ブラウスの上から胸を掬い上げて耳元にキスを落として 完璧にその気の俺なんだけど
『しません!』
左手の薬指をキラキラ輝かせながら俺の胸を押す璃子は 今日こそは負けまいとキラリと眼を光らせて
『昨日はあんなにしがみついてたのに?』
『もう そういうこと言わないの!』
目くじらを立てて睨み付けるけど
初めてだったよな昨夜のような穏やかなセックスは
攻めるわけでもなく 攻められるわけでもなく… お互いの心を重ねるようにって言うのかな
ずっと手を繋いで 何度も唇を重ねて 名前を吐息にのせて口にして
『朝御飯冷めちゃいますよ?』
『だから璃子でいいって…。』
『ダメです!今日こそは食べてもらいますからね!』
『ハイハイ わかりましたよ…奥さん。』
さっきから「奥さん」と呼ぶたびに頬をピンク色に染めて頬を緩めて
『おまえ 指輪触りすぎ。』
この幸せを噛みしめているのはこいつも一緒か
『…うふふ…いいの。』
こんなに喜んでくれるならもっと早くに想いを伝えておくべきだったと少し反省した。
***
『ほらね、やっぱり似合うじゃないですか!』
『そうかぁ?ピンクのネクタイなんて俺初めてなんだけど。』
私がプレゼントに選んだのはグレーと紺の細いストライプが入った淡いピンク色のネクタイ。
『格好いい人ってピンクが似合うんですよ?』
優しく微笑む京介さんには絶対にこの淡い色が似合うって このネクタイを見たときに思ったんだから。
『それに このネクタイピンを合わせると…。ほらね やっぱり似合う。』
肩をポンと叩いて お腹に腕を廻して胸に頬を埋めて
『間に合わないんじゃなかったのか?』
『…少しだけ…。』
出勤前の充電タイム。
『夜は親父とお袋に報告しに行くからな。』
…そっか プロポーズをしてもらったら新しい時計が動き出すんだ…
『喜んでくれるかな。』
『当たり前だろ。』
京介さんと一緒なら どんな時間も素敵に過ごせるよね。