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あなたの色に染められて

第40章 誰かのために


『あ~ぁ。喋っちゃった。』

美紀は呆れ顔で頬杖をつくけど

『でも それが一番ベストだな。』

『俺もそう思う。』

長谷川さんも佑樹さんも俺の提案に心踊らせた。

『璃子ちゃんがサプライズするつもりだったのにねぇ。』

そう 二次会でウエディングドレスを着る予定だったことも俺は京介さんにネタバレした。

『二次会でケーキカットにキャンドルサービスかぁ。』

その情景を頭に巡らせて京介さんはさっきとは別人のように身を乗り出し

『璃子ちゃんの笑顔が想像できるよね。』

ニヤケ面して首を縦に振る。

『ねぇ…逆サプライズかけない?』

悪い顔して提案するのは幸乃さん。

『当日までのお楽しみ…ってこと?』

みんなのイタズラ心に火が着いたら

さっきまでお怒りモードだった佑樹さんも身を乗り出して

『そうと決まったら役割分担しようぜ。』

もうウエディングプランナー気取り。

残り2ヶ月を切った今 限られた時間で出来ること

『もしもし夏子さん?この間のドレスのレンタルの件なんですけど…。』

『あっ 俺。おまえの彼女ケーキ屋だったよな?頼みがあんだけど…。』

早速動き始める俺たちは野球同様チームワークには定評がある。

『…ありがとな…。』

小さな声でみんなに礼を言う京介さんに

『おまえのタメじゃねぇし。璃子ちゃんのタメだし。』

佑樹さんはまた京介さんに突っかかるけど

『っていうかさ 佑樹も早く彼女作れよ。出来なきゃ借り返せねぇだろ。』

余裕ができた京介さんは今度は応戦したけど

『いるよ。彼女。』

…え…。

寝耳に水ってこういうときに使う言葉。

『マジ?』

あれだけ彼女が欲しいってあっちこっちの女の子に手を出してたのに

『おまえらが嫌いな萌だよ。』

サラッとデッカイ爆弾を落として

『はぁ?!』

俺たち全員 何がどうなってそうなったんだと頭の上に?マークをたくさん浮かばせて

『京介と色々あったときに相談に乗ってたらそういう雰囲気になって。』

視線を一身に浴びた佑樹さんはさらに大きな爆弾を次々に落としはじめた。

でもその威力は増すばかりで

『今月の末 萌の誕生日に籍入れるから。』

『…へ…?』

もう 俺らの何がなんだかわからない。

『腹に赤ちゃんいるんだ。』

その微笑みはもうあのギラギラし佑樹さんの微笑みではなかった。

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