あなたの色に染められて
第41章 あなたの色に染められて
パタパタパタ…。
…ん~ぅ…
…ガバッ
『痛ってぇ…。』
起き上がると頭がズキズキとやけに痛む。
『…やべぇ…二日酔いだ。』
枕元の目覚まし時計を確認すると
『もう昼じゃん…。』
コメカミを指でギュッと押さえ 枕にボスッと倒れ込むと
『…京介さん?』
扉から覗くのは愛らしい微笑み
『…来いよ。』
手を伸ばして俺の特効薬を抱きしめる。
『昨日…どうやって帰ってきた?』
『…やっぱり。』
そんなに睨み付けるなって…。
まぁ 大体想像はつく。三次会で奴らに捕まった俺は相当呑まされた。
『まさか…一人で俺をここまで運んだの?』
璃子は俺の腕を潜り抜け 腕を組みベッドの上にベタンと座ると
『大変だったんですよ!何回もしゃがみこむからその都度引っ張って…。』
『アハハ…。』
小さな体でここまで連れてくるのは相当な労力が必要だったはず
『脱がせるのだって一苦労だったんですから。』
俺が悪いのは百も承知。
この場面 笑っちゃいけないんだろうけど 必死で俺を介抱する璃子を想像すると ダメだ…。頬が勝手に緩んでしまう。
『聞いてます?!』
新婚二日目にして俺は嫁さんからお叱りを受けて
『…ゴメンゴメン。』
反省をすることもなく俺は璃子を胸に引き寄せ黙らせた。
抱きしめると コイツはいつもそう
『今度は知りませんからね。』
口を尖らせながら許してくれるんだ。
甘く香る髪にキスを落とすと 璃子は俺の胸に頬を寄せる。
『そういえば…。』
『…ん?』
『おまえ今晩覚悟しとけよ?』
『…はい?』
まったく…ホントに璃子の表情はコロコロと変わりやがる。
『一日遅れの初夜…。たっぷりと蕩けさせてやるから。』
今度はみるみるうちに顔も首も耳も真っ赤に染まり…ホントに飽きないんだ。
『返事は?』
『…イエ…ス?』
『プッ…イエスかよ。』
…そうだよな。俺からの問いかけには「ハイかイエス」で答えるんだよな。
もう一度 俺の胸に抱き寄せて幸せをただ噛みしめる。
俺が本気で愛した最初で最後のオンナ。
一生賭けて守るから…。
だから…だからお願い。
俺よりも一秒でも長く生きてくれ。
『愛してるよ。』
『私も…愛してます。』
だって…
璃子が居ない人生なんて俺にはなんの意味もないから…
★END★