あなたの色に染められて
第9章 jealousy
『京介さんと遥香さんはお付き合いされてたんですよね?』
過去は知りたいわけじゃないけど
『あぁ。』
聞いてしまうのはきっと恋愛初心者だから。
『自然消滅だからまだ忘れられないんですか?』
そして水からを苦しめてしまうのも初心者ゆえの行動なのかもしれない。
でも 聞かないと前には進めない。
『ちょっと待て、自然消滅?誰だよそんなこと言ったの。あのなぁ…それ俺が振ったの。』
…えっ?
ほらね、進んだ。
『確かにおまえが言うとおり学生の頃から付き合ってた。でも お互い仕事はじめて遠距離になって連絡もなかなか取れなくなって…んで、忙しいから別れたいって俺が一方的に告げたんだよ。』
意外なほどさっぱりと話す彼
『私はお互いにまだ気持ちが残ってるのかと…』
大きく溜め息をつくとグイッと抱き寄せて
『あのなぁ…。何かあったら直接オレに聞けよ。俺はお前に嘘はつかないって最初に言っただろ。』
『…ごめんなさい。』
信じることが怖かったのは私だったんだ。
『いや、お前は悪くないよ。俺がおまえに甘えすぎてたんだ。』
彼の吐息が私の耳を擽る。
『どうしたら許してくれる?』
京介さんの匂いだ。
『もう 私を一人にしないで下さい。それと…助手席も私の指定席にしてください。』
『それだけでいいの?』
額と額を重ねて自然と頬を緩ませる。
『じゃあ…明日 大活躍して優勝してください。』
『そんなんでいいの?』
首を縦に大きく振ると
『じゃあ これから球場に付き合ってよ。』
行きたいけど遥香さんがいたらどうしよう。
首を縦に振れない。
『俺がちゃんと守るから。』
そう告げる冷たい唇が私の唇に触れる。
『俺のオンナなんだから堂々としてりゃいいんだよ。わかったら返事は?』
『…はぃ。』
『よろしい。』
久しぶりに彼と重ねた唇
『…んっう…』
甘くて 優しくて 蕩けるような愛しいキスは さっきまで悩んでいた私の心を意図も簡単に溶かしていく。
『俺を信じて。』
『…はぃ。』
『おまえだけだから。』
3ヶ月前も京介さんは同じ言葉を私に言ってくれた。
『…うぅっ…』
『また泣く。』
彼の腕の中はあたたかい
『だって…もうお別れされちゃうのかと思ってたから。』
『そんなわけねぇだろ。』
ここも私の指定席なんだ。