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虹色の精霊に導かれて…

第2章 ハワイの夜空の下で

櫻井視点

O「…ぃ……」
 ベランダで空を見上げてる智くんがいた。

「いた…良かった…」
 ホッととして、サッシに寄りかかる。


 目の前の智くんは…ただ、ただ空を見上げていた。


(智くん…どこを…何を…見ているの?)

いきなり背中に羽が生えて、飛び立ってしまいそうな雰囲気を纏っていた。



O「ぅん? あ…翔くん…」
 智くんがゆっくり顔を向ける。


「なにしてるのさ!みんなのトコ行くよ!」
 精一杯 穏やかに声をかける。



本心は飛び立たないように、抱き付きたい…

でも、そうしたら、逆に飛んでいきそう…で、怖い…


(とりあえず、確保だ…)
 そっと、手を出す。


O「あ、うん…」
 素直に手を出した智くん。


(よし、いいこ…だ…)
 智くんの手を優しく掴む。


ビックリするくらい、手が冷たい…


 驚いて、智くんの顔を見ると「あったかい」嬉しそうに笑った。



「いつから外にいたの?」
 急いで部屋に引き入れる。


O「ん、さっき…」
 部屋の中に入ると、少し顔色も悪い。


「こんなに冷たいのに…『さっき』はないでしょ?…ずっと…じゃないの?」
 問い詰めるつもりは、ないが、口調がそうなる。


O「うーん、部屋に入って、着替えだして…あれ?着替えてない…」
 自分の服を確認して、首をかしげている智くん。


 いつもの、ふわふわした、やさしい顔をしている。

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