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虹色の精霊に導かれて…

第14章 一瞬の交差

櫻井視点

「和也」
静かな声で名前を呼んて近づく。


N「…はい」
 下を向いたままのカズ。

 雅紀と潤もなぜか肩を窄め身構えている。


(怒ってないのに…)


「まとめてて♡」
思いっきり笑顔で手帳を渡した。


N「え?翔さん?」
 和也がポカンと口を開ける。

 潤も雅紀も同じ顔をしている。


(なんだよ!怒った方かよかったのか?)
三人の顔を見て、ちょっとムッとしたけど、智くんがニコニコしていたから、俺も笑えた。


「和也が“この場にあった面白い挨拶”にしてくれない?」

(そのほうが、みんなが楽しくなるでしょ?)


 和也が俺の手帳を見て考えている。

M「いいなー翔さんの手帳借りれて~」
 潤が手帳をツンツン突きながらニノに絡んでいる。

N「う、うん…」
 手帳を開いて座り込むニノ。


 立ったままいる雅紀に「翔ちゃんは怒ってないよ」智くんがニコニコ笑って話しかけている。


「ね~どうして俺が怒らないといけないだろうね?」
口を尖がらして、智くんの後ろでふざけてみた。


 雅紀が少し気分を下降していくのを感じる。


O「ばか…おまえの所為でもないだろ?」
 智くんが雅紀に声をかける。

「そうそう」
智くんの言葉に同意して言う。


A「そう?」
 確認するような目で智くんを見ている。 

O「うん」
 智くんがふふっと笑っていた。


 雅紀の不安は智くんの笑顔で消えていったようだった。


(雅紀…は智くんが見てる…から…)

潤をみる。


(俺はこっちだな…)


「お前にも。だよ!」
 羨ましそうな顔をしている潤の後ろ側から頭をポンと触る。


 潤は“ヤバっ”という目で俺を見た。

(そんな目で見るなよ
 大丈夫。
 俺たちは“みんな”を見てるよ)

M「挨拶は誰がやるの?みんな?ひとり?」
 慌てて、違う話をしようと、早口で言う潤。

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