僕が僕を殺した理由
第1章 。。
僕の死体は、僕ではない違う誰かを演じ続けている。
あの日、君が僕を否定したように、僕が僕で居続ける事を世間が認めてくれはしないだろう。そして自分の存在価値を問うノラでさえ、本来の僕を求めたりはしない。社会性に欠ける人間など、誰も相手になどしないという事だ。
それが現実だと言われれば、僕にはそれ以上、何も言い返す言葉が見つからない。そんな僕も、そんな社会の仕組みに飲み込まれてしまった一人、という事なのだろう。
あと何度、僕を殺せば、報いの日がこの僕にも訪れるのだろうか。煙草の焔を揉み消す度に、この寿命も縮まっていくような気がした。
蛇口を捻り、灰皿の中でいぶる煙草に一気に水道水を流し入れた。水は灰と混じり、シンクを汚す。そして飛び散った汚水が、僕の真っ白なTシャツに黒いシミを残した。
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