煩悩ラプソディ
第14章 恋も二度目なら/SA
遠くの目覚ましアラーム音が段々と近づき意識が浮上する。
手を伸ばしてスマホを適当にスワイプすれば、ひんやりした空気を頬に感じて否が応でも覚醒させられた。
自室から出てリビングへ向かおうとすると、目の前のドアが急に開いたから思わず廊下の壁に後ずさる。
「うおっ…!」
「あ、翔ちゃんおはよ!」
飛び出してきたかと思ったらそのまま横を通り過ぎて玄関へ。
「朝ごはんテーブルの上ね、あ、パンは焼いて!
あとジャケット出したやつとってきたから、タグ外しといて!
それと今日は俺病院行けるから、翔ちゃん洗濯物お願いね!」
靴を履きつつも、たまにこちらを向いて一気にそう告げられて。
「じゃ、いってきます!」
ドアを開けて半身を出しながら、振り向きざまに手を挙げそう残して出て行った。
「…いってらっしゃい、」
ドアに向かってぽつり呟き、ふぅと息をつく。
先月のクリスマスイブの日。
俺と潤は、相葉さんとかず君と
"家族"
になった。
潤がかず君と同室になってからずっと、内に秘めていた想い。
今の俺たちを支えてくれるのは相葉さんたちしかいない、と。
病室に行く度に増える潤の笑顔がそれを確信に変えたんだ。
そして…
俺の中でも相葉さんの存在は無くてはならないものになって。
あの日、想いを打ち明けた俺を相葉さんは優しく受け止めてくれた。
それから、俺たちの
"家族"
としての第一歩が始まったんだ。