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煩悩ラプソディ

第2章 僕の目が眩んでるだけ/ON






その時、後ろから左手をグイッと引かれて。



驚いて振り向けば、にのが何か言いたげな顔でこちらを見つめている。



「…え、どした?」



なんでそんな顔してるのか分からず素直に問いかけると。



「…はい、」



そう言って、目を閉じて軽く唇を尖らせた。



…え?これって…



さっきのやれってこと…?



や、ちょっと待て…



かわいすぎんだろっ…!



顔中が熱くなりながら目の前でキスを待つその顔におずおずと近づいていく。


優しく口づけて、離す時にちゅっと少し音を立ててみた。


その音に目を開けたにのが、顔を赤くして下唇を噛みながら目線を上げる。


きれいな薄茶色の瞳で一度こちらを見てまた目を逸らした。



「…アンタは…どうなのよ…」



伏し目がちにそう言って、口を尖らすように結んで視線を彷徨わせる。



「え?」

「…だから、どうなの?俺のこと…」



チラッと上目でこちらを見て、またすぐ視線を落とす。



俺は…



「…うん、すごい好き…お前のこと」



静かに言うと、尖らせていたにのの唇がふっと緩まって目を伏せたまま頰を赤く染めた。



「…そ、わかった…」



ポツリそう言うと、スッと俺の横まで来てそっと耳打ちしてきて。


そして、そのまま俺を置いてトイレから出て行った。


残された俺は、そこに立ち尽くすしかなく。




"…今度、ちゃんとシよ?"




にのの甘い囁きが脳内リピートされる。



…なんだよもうっ…!


てか、どうすんだよこれっ…!



下を見遣ると、ゆるーく主張している儚い分身が。


それはまるで、毎朝起こることのデジャヴのようで。


眉間に皺を寄せてジッと眺めながら、だんだんと顔が緩んでいく。



…約束、守ってもらうからな。



覚悟しとけよ、ニノ。



そう心の中で呟いて、ニヤける顔を両手で押さえつつみんなの待つ楽屋へと向かった。





end

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