煩悩ラプソディ
第5章 愛情注ぐ理由はいらない/ON
「にのが俺のこと考えてシてるとこ、見てみたい…」
頬を包まれて切ない顔でそんなこと言われても…
「…ね?見せて?」
少しトロンとした目で小首を傾げて問いかけてくる。
あ、この人回ってきてる…。
くっそ、一人で酔っ払いやがって…
じゃあ俺もっ…!
体を反転し大野さんの膝から下りて、テーブルの側にどかっと座って飲みかけのビールをグビグビあおった。
飲み終えると、またすぐにプシュっと缶を開けて一気に流し込む。
「にのっ、」
背後の大野さんの声を無視して全部飲み干すと、ふぅーっと息を吐いてテーブルに缶を勢いよく置いた。
「うえ…やっぱキツい…」
普段しないことをしたせいかダメージは思いの外大きかった。
けど、こうでもしなきゃ…
乗り切れないような気がした。
「ちょ、なにしてんの…大丈夫?」
テーブルに手をついてうなだれる俺に、大野さんが肩に手をかけながら覗き込むように窺う。
「…アンタだけ酔っ払うとか、ナシだから」
「へ?」
ぼそっと呟いて頭をふるふるっと振ってから大野さんを見上げた。
体にじんわりとした熱が帯びてきて心臓もトクトクと高鳴る。
「…にの、そんな顔すんなよ…ヤバいから」
そう言って余裕のない表情を浮かべると、そのまま背後に回られて後ろから抱きしめられる。
ソファに凭れた大野さんに俺が凭れかかる形になった。
「見てるから…できる?」
耳元で囁かれて、ゾクッとした。
「…脱がそうか?」
「い、いいっ…自分でやる、」
お尻を浮かせてスウェットを膝まで下ろし、ボクサーパンツもモソモソと膝まで下ろした。