煩悩ラプソディ
第37章 刻みだした愛の秒針/AN
急に訪れた刺激と相葉さんの声に一瞬で脳内が支配された。
そして確かに感じた自身の昂り。
初めこそ『組み敷かれた状態でちゃんと勃つんだろうか』なんて考えたりもしたけど。
そんな心配は全く要らなかった。
つーかむしろ反応し過ぎて恥ずかしいくらい。
迎え入れたキスは俺なりの覚悟のつもりだった。
なのにまだ恥ずかしくて動揺を隠せない自分がいて。
でもそんなこと言われたら…
「…ね、脱ごっか」
そのまま囁かれた言葉が耳を擽り。
言うが早いか、素早く捲られたパーカーの裾で相葉さんの顔が見えなくなって。
されるがままに首からすぽっと抜かれ、見上げる先には勢い良くロンTを脱ぎ捨てる姿。
そこに現れた表情にどくんと心臓が脈打つ。
やけに色気を纏ったそれとは対照的に『もう下も脱いじゃお』と言う声色はいつものトーンで。
ふいに出してくる色気の合間に普段の一面を見せられるとひどく安心する。
多分無意識なんだろうけど、そういう優しさにいちいち胸がきゅんとしてしまう俺はかなりキテると思う。
「ほら、にのも」
その様子をぼんやり眺めていると、催促するようにスウェットのゴムに指が掛かり。
「っ!いいって、脱ぐって…!」
慌ててその手を退けて親指を掛け。
一瞬躊躇ったけど一気に下着まで脱ぎ去って床に放り投げた。
そんな俺の一連の動作を寝転んで肘をつき見つめてくる相葉さん。
上掛けを広げて『おいで』って顔がなんか余裕ぶってて憎たらしくも感じるけど。
でもそんなことで捻くれてる場合じゃないのはもう分かってるから。
ぽっかり空けてくれているスペースに体を潜り込ませれば、途端に温かい空気に包まれて。
それは紛れもなくこの人から伝わってくる熱。
更にふかふかの上掛けも手伝って、すぐ傍で笑みを溢す吐息にも体が反応してしまう。
何一つ身につけていないお互いの体。
触れる全てが興奮材料。
「にの…」
「んっ…」
肩まで覆った熱気の中、その声に誘われるように体を擦り寄せて。
回された腕にぎゅっと引き寄せられれば相葉さんの引き締まった脚が絡まってくる。
応えようと同じく脚を絡ませると、お互いの昂ぶった中心が押し合うように触れた。