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煩悩ラプソディ

第7章 微笑がえし/MO






もう、どうにでもなれ。
笑いにでもなれば、それでいい。



そう覚悟を決めて、包みをカサカサと開けるリーダーの反応を目を伏せてジッと待った。



「あ、うわすげえ!なにこれ!」


聞こえてきたのはにのの甲高い声。
目を上げると、ペンダントを目の前に揺らして珍しいものでも見るようなリーダーの顔。


にのの声に気づいた相葉くんと翔くんも集まってきて、みんなでリーダーを囲んでいる。


「…これ松潤が作ってくれたの?」

「え、まぁ…」

「えぇ〜すごいねこれ、どうやんのこれ」


ペンダントを見つめながら感嘆の声を上げている。
予想外の反応に、正直戸惑ってしまった。



こんなに喜んでくれるなんて、思ってもみなかったから。



「つけてあげなよ」


にのがそう言うと、リーダーがペンダントを俺に渡した。


そしてつけていたペンダントをすぐに外して俺の前に背を向けて立った。


カチっと留め具を合わせると「おぉ〜!」と言うみんなの声とともに、リーダーがドヤ顔でペンダントの先のリングを見せびらかしている。



なんだろう、この感じ。


めちゃめちゃ嬉しいんだけど。



「リーダー、松本くんにお礼言わなきゃ」


相葉くんが笑いながら促すとリーダーがこちらを振り向いた。


「ほんと嬉しい…ありがと、まつずん」


言い終わって吹き出すリーダー。
「ちゃんと言えよ!」と肩に突っ込むにの。
手を叩いて爆笑する相葉くん。
「またかよ〜」と目をギュッと閉じて笑う翔くん。



そこには俺の想像してた「笑い」じゃなくて、あったかい「笑顔」があって。



あぁ、良かった。


リーダーも、笑ってくれて。


みんなと、笑ってくれて。


いつの間にか、俺も一緒に笑ってて。


本当に、この空間が心地いい。



そして、謀らずとも一瞬であったかい空気を作ってしまうこの人は本当にすごいとつくづく思った。



プレゼントしたつもりが、逆にもらったものの方が大きすぎて。


俺、どうしたらいいの?





ヘラヘラと笑いながら輪の中心にいるその人に向けて、聞こえないくらい小さい声で告げた。




「…ありがと、リーダー」





俺の大好きな、笑顔をくれて。






end

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