煩悩ラプソディ
第7章 微笑がえし/MO
思わず目を見開く。
…まるカブリじゃん!
「…どしたの?」
固まる俺を見て小首を傾げながら窺うリーダー。
いや、こんなの渡せるわけがない。
向こうは姉ちゃんからのブランドもので、こっちは俺からの不恰好な手作り品。
どう考えても月とスッポンじゃないか。
「あ、いや…なんでもない。
いいね、それ。似合ってんじゃん」
引きつった笑みを貼り付けて言うと「そう?」と照れながら笑うから、ますますダメージが大きくなる。
完全敗北。
…やっぱちゃんとプレゼント買おう。
そう心で呟いて、カバンに潜ませてあった小さな包みをそっと奥にしまおうとして手を入れると。
…ん?ない?
開口付近にあった包みの感触がない。
慌てて奥までまさぐる。
やっぱりない。
「…なにこれ?」
ふいに前方の入り口から声がした。
見ると、にのが屈んで下に落ちているモノを拾っている。
その手には俺の小さな包みが。
「っ、それ俺のっ…!」
ガタンと勢いよく立ち上がった俺に他のメンバーもこちらに視線を送る。
側のリーダーも驚いて目を丸くしている。
いつ落としたんだ…!?
あまりの俺の慌てように一瞬だけ驚いた顔をしたにのだったが、すぐに含み笑いながら近寄ってきた。
「これ潤くんの?」
「そうだよ…返せよ」
「なに?これ」
「…言わねーよ、何でもいいだろ」
「気になるなぁ〜」
心底楽しそうな顔で隣のリーダーにも「ねぇ?」なんて言ってやがる。
「…あ、もしかしてさ、大野さんの誕生日プレゼント?」
ニヤっと上目遣いで俺を見る。
なんでコイツはこう察しがいいのか…。
「えっ、そうなの?」
何も反論しない俺を見てリーダーがまた驚いた顔で声を上げた。
にのはニヤニヤとした笑みを浮かべている。
「え、開けていいの?」
にのから包みを貰ったリーダーは、嬉しそうな顔と声で聞いてくる。