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煩悩ラプソディ

第8章 隣にある優しさ/AO





「…え、代わってくれんの?」

「うん、なんかそっち凍ってて滑るから」

「え?なんだよそれっ!」


笑いながらリーダーが言うから、俺もつられて笑いながら突っ込む。


わかってるよ。
照れ隠しだよね?


…そんなリーダーの優しさに、いつも救われてるんだ。


へへッと笑いかけるリーダーを見て、自然と顔がほころぶ。



その時。
いきなり物凄い突風がきて、民家の庭先の木に積もった雪がブワッと降りかかってきた。


一瞬にして左半身が雪にまみれ、固まる俺。


それを見て爆笑するリーダー。


「ぶっ…!あははははっ!
あ、あいばちゃ…」


お腹を押さえて、しゃがみこんで笑ってる。


「う〜…つめたぁい…」


顔まで雪にまみれて、半ば泣きそうな声でうなだれる。


場所代わった途端これだもんな。
けど、リーダーにかかんなくて良かった。


うん…守れて良かった。


しゃがみこんで笑ってたリーダーが、俺を見上げるとふにゃっとした笑顔で近づいてきた。


「あーあ…イケメンが台無しだな」


そう言うと、楽しそうにニット帽やダウンにかかった雪をパラパラ払ってくれる。


口を半開きにしてヘラヘラ笑っているリーダーを見ながら、こんな他愛もない時間がとても幸せに思えた。


「めっちゃかかってんじゃん…ふふ」

「笑い事じゃないよ、もう」

「あぁごめん、けど…ありがと」

「え?」

「守ってくれて、ありがとね」


そう言ってまた、ふにゃっと笑いかけられて。
心臓がキュッとした。



遠くの方からスタッフさんの声がして、再開を告げられる。


「さ、行くかぁ」

「…あ、うん」

「それ繫がり大丈夫?」

「あ〜…ほんとだ」


ふふっと笑い合って、まだ肩口にかすかに残る雪を払いながら来た道を戻る。
リーダーはやっぱり、車道側を歩いてくれている。


傾きかけたオレンジ色に照らされて、白い息をまとった穏やかなその横顔にそっと語りかけた。




大ちゃん、いつも優しくしてくれてありがとう。


あなたは、俺にとっての陽だまり。
こんな寒い日だって、あなたの隣にいればとってもあったかいんだよ。



だから、これからも。
一緒に笑っていこう。




大好きだからね。


俺たちの、リーダー。





end

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