煩悩ラプソディ
第41章 積み重なる真夏のsuccess/SM
この夏。
俺はついに念願のパートナーに巡り合えた。
講義を終え正門へ続く道を人波に乗りながら歩く。
スマホに目を遣れば、ポップアップされた新着メッセージに顔が綻ぶのを隠せなくて。
『今着いたよ。待ってる』
「…ちょっと、顔」
「ん?」
「緩みすぎ。バレバレ。今から潤くんと?」
隣を歩くニノに怪訝な目を向けられてもどうってことない。
「ふは、そうに決まってんだろ。他に誰がいんだよ」
「んふ、あんま調子乗んないでくれます?」
「はぁ?お前だってどうせ今から愛しの相葉くんのくせに」
「あ?どうせって言うなばーか」
「あぁ?何だやんのかこらぁ!」
歩きながらいつもの小競り合いに縺れ込もうとした時、前方から俺を呼ぶ声が聞こえて。
目を遣れば俺の愛しい恋人の姿が。
「ちょっと…何ケンカしてんの」
「いやケンカじゃねぇよニノが、」
「じゃあね潤くん!ばいばーい!」
呆れ顔の潤に弁解しようとするとすぐに満面の笑みで手を振って去ろうとするニノ。
去り際に俺に向かってチッと舌打ちしてスマホを耳に当てながら歩いて行きやがった。
くっそ何だよアイツ!
可愛くねぇ!
あんなんでよく相葉くんに愛想つかされねぇよな。
マジ俺だったら三日ももたねぇわ。
「…翔さん?」
ニノの後ろ姿を睨み付けていると遠慮がちにまた呼ばれて。
控え目に笑うその笑顔にはいつだって新鮮にドキドキしてしまう。
こんなに理想の相手に巡り合えるなんて夢にも思ってなかったから。
未だにほんとは夢なんじゃねぇかなって疑うほどに。
でも違う。
この目の前の笑顔は間違いなく俺に、俺だけに向けられてる。
それに…
「今日どこ行くの?」
「んーどこにする?潤なに食べたい?」
「えー…翔さんが食べたいものでいい」
ほら、こうやって俺に合わせてくれたり。
「んー…なら潤の手料理がいっかなー」
「えっ、またぁ?俺のでいいの?」
「うん、潤のが一番美味いもん」
ほら、こうやって褒めると照れ臭そうにはにかんだり。
極めつけは…
「…じゃあ、今日も泊まってっていい…?」
超絶俺好みのヤラシさを兼ね備えてるってことで。
あぁ神様…
マジでありがとうございましたっ!
end