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例えばこんな日常

第12章 まさかの大誤算/AN






あの日俺の家に来たのも、役作りと銘打って自分のもやもやした気持ちをはっきりさせに来たんだそう。


そしたら、まさか自分も同じように好きになっていたことにその時気付いてしまい。


動揺を隠す為に咄嗟な小芝居と捨て台詞を吐いてリビングを飛び出してしまったんだ、って後から聞いた時は、無性ににのが可愛く思えて堪らなくなった。



コーヒーを両手に持ってにのの元へ戻り、隣に腰掛ける。


相変わらずのゲーム好きは、俺が隣に居ても全く動じることはなく。


頬杖をついてじっと眺めていると、視線に気付いた横顔が段々と緩んできて。


おまけにふわっと染まる耳たぶに思わず鼻から笑みを溢せば、あからさまに眉を顰めた横目と尖らせた唇。


「…かわいいね、にのちゃん」

「…なんなのよほんと」


どうしたってニヤけてしまう頬をそのままに、最近ではこうして思ったことがつい口に出てしまう。


「あ~また始まったわ、お花畑タイム。
ちょっとは慎んでほしいよなぁ~」


そんな俺達の背後から、わざと聞こえるように独り言を口にする翔ちゃん。


「聞こえてるから、翔ちゃん」

「えっ、あ、聞こえた?ごめんなさい、気にしないで」


笑いつつ振り向くと、またわざとらしい顔で心のこもってない謝罪をされる。


「てゆうかさ、確認なんですけどグループ内恋愛ってアリなんすか?」


応戦する松潤が、ソファでじっと動かないリーダーに投げかけると。


「う~ん…まぁいいんじゃない?」

「えっ、軽っ!」


さらっと言ってのけるリーダーに、松潤も笑いながら突っ込みを入れ。


「けど…」


続けてぽつり発したリーダーのその言葉に、そこにいた全員の時間が一瞬で止まった。


「俺もにの好きだからなぁ…
あ、相葉ちゃんも好き」



…はい?



「だから俺もそこに入りたい」


そう言ってへらっと笑うその顔は、長年の付き合いで分かる紛れもない本物の笑顔。


「…はぁっ!?」

「マジでっ…!?」


驚く松潤と翔ちゃんと同じく、俺とにのは驚きのあまり声も出せずただ固まるしかなく。


「ふふっ…いい?」


ふにゃっと笑いかけられ、開いた口が塞がらなかった。



もしかしたら…


これが一番の、


大誤算だったかもしれない。




end

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