
例えばこんな日常
第22章 罪深きボルテージ/AN
これは、担当看護師の相葉さんとの二人だけの秘密。
元はと言えば、俺が一方的に好きになったのが始まり。
少しでも一緒に居たかったから、用も無いのにナースコールを押して相葉さんを呼び付けて。
それはほんの出来心。
ちょっと構ってほしかっただけなのに。
まさかこんなことになるなんて夢にも思ってなかったんだ。
「途中までシてたんだ?なに、また一人で気持ち良くなるつもり?」
「っ…」
覆い被さられたまま相葉さんの綺麗な丸い瞳に見下ろされ、何も言えずにふるふると首を振る。
「…一緒に気持ち良くなろうよ」
言いながら近付いてきた唇がそっと重ねられた。
途端に疼きだす俺自身。
こんなに感じやすい体になったのも全部この人のせい。
「んっ…ぁ、」
「くふ…もう気持ち良いの?」
ちゅ…と音を立てて離された唇が、わざと耳たぶに掠めるように触れて。
「ぁんっ…や…」
「ふふっ、ほんっと…可愛いね」
身を捩っても鼓膜にダイレクトに聞こえた"可愛い"に、またぴくんと自身が震える。
相葉さんに"可愛い"って言われると反応してしまう俺。
男なのに…こんなの変だって分かってんのに。
相葉さんが喜んでくれてると思うとどうしようもなく嬉しくなってしまうから。
本当は恥ずかしくてどうかなりそうだけど。
この時間だけは、相葉さんに俺の全部を見せるって決めてるんだ。
