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例えばこんな日常

第22章 罪深きボルテージ/AN






「二宮さん、検温の時間です」


カーテン越しに穏やかな声が聞こえ、とろとろしていた意識が引き戻される。


昨日の行為の後、ぐったりする俺をよそに慣れた手付きで後処理をしてくれた相葉さん。


そして瞼が落ちそうな俺のパジャマをちゃんと着せてくれて、きれいにベッドに寝かせまでしてくれた。


"また明日ね"って頭を撫でて微笑み去っていく相葉さんを見送り、その意識を手離す寸前に脳裏を掠めたこと。


行為中も何度かチラついては考えないようにしていたこと。



相葉さんは…きっとこうゆうのには慣れてる。


そう、だって俺とは遊びなんだもん。


昨日のことも遊びの延長だって分かってんのに。


なのに、あんな色っぽい相葉さんを見せつけられて。


あんな気持ち良いことがあるんだって知ってしまって。


…遊びだって分かってるよ。


でも、もっともっと相葉さんとエッチなことしたいって欲が生まれてしまったんだ。



「ふふ…眠いの?」


その声の方にぼんやりと焦点を合わせれば、真っ白な制服に身を包んだ笑顔の相葉さんが居て。


もうすぐ夜勤が明けるというのに少しも疲労感を感じさせなくて、まるで昨日の甘い時間が嘘だったんじゃないかとさえ思えてくる。


「熱、計りますね」


体温計を見せられてパジャマのボタンを外される間も、ずっと相葉さんから目が離せなくて。


ボタンを外される気配にすら昨日のことが蘇って、ふわふわと体が熱くなる予感がした。



相葉さん…


俺ね…相葉さんのことが好きなの。


だから…俺だけを見て。



「…そんなに見つめられたら仕事になんないよ」

「っ…!」


いつの間にかずっと目で追っていたみたいで、そんな俺に苦笑しながらバインダーにペンを走らせる。


「でも…」


すっと手の動きが止まったかと思えば、ふいに上体を屈ませ目線を合わせてきて。


「…クセになっちゃった、二宮さんの体。
だからまたイイコトしようね…?」


そう言ってちゅっと触れるだけのキスをされ。


「ふふ、可愛い…じゃあまたね」


ニコッと爽やかな笑顔で部屋を去っていった。


相葉さんが残した"可愛い"に無意識に熱い息を溢し。


その声を再生しながら、まだ余韻の残る火照った体がジン…と疼いたのを自覚した。





end

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