
例えばこんな日常
第9章 いてもたってもいられない/AN
いやそりゃ一人でやってたけどさ…
それはあくまで相葉さんが居ないからやることでしょうよ。
目の前に居んのにするとか…
恥ずかしくてできる訳ねぇじゃん!
「ね?やってみてよ、にの」
「っ、やだって!なんで相葉さん居んのにやんなきゃいけねぇのよ、」
「え、だって嬉しいじゃん」
「…は?」
「俺のこと考えて我慢できなくなったんでしょ?
帰ってくんの待てなかったんでしょ?」
キラキラした瞳で、さぞ嬉しくて仕方ないという様な相葉さん。
「にのの頭ん中俺でいっぱいって思うとさ…
超嬉しくてたまんないの」
そして、さっき画面越しに見たあの笑顔が俺だけに向けられて。
…もう、ずりぃって。
そんな顔でそんなこと言われたら…
「…にーのちゃん?」
「…じゃあ、」
「ん?」
「…やるから、ちゃんと見ててよ…」
…そうだよ。
いつだって、どこでだって。
…相葉さんのこと考えてんだから、俺。
小さく呟いて目を上げると、きれいな喉仏がごくっと動いたのが見えた。
視線を更に上げれば、期待に満ちた熱っぽい瞳で見つめられて。
…これ、真横で見られんのヤだな。
「…ね、凭れていい?」
「えっ、あ、うん」
相葉さんの胸に背中を預ける形で寄り掛かる。
うん…これなら恥ずかしくないかも。
顔を後ろに振り向いて見上げると、口元を緩ませた相葉さんが優しく俺を見下ろしてお腹に腕を回した。
「…いいよ、」
こめかみに頬をくっつけて耳元でそう囁かれれば、急にどくんと体が熱くなる。
そろりとスウェットの下に左手を忍ばせ、中途半端に育てられた自身を躊躇いなく握りこむと。
「…っ、ん」
先端にはじわりと密が滲み、驚く程すぐに元の形を成した。
背中に感じる相葉さんの体温と、耳に触れる熱い吐息。
脳裏に蘇る、俺の中の相葉さん。
その何もかもが、この上ない興奮材料になっているようで。
「…はぁ、」
小さく息を漏らしつつ、体の芯から込み上げてくる感覚に意識を集中させた。
