秘密
第28章 悩
「…ないよ。親いなくても大丈夫」
「学校は?行ってるの?毎日のようにあなたをテレビで観れるのは嬉しいけど勉強の方は大丈夫なんでしょうね?」
「行ってない、入学もしてない」
それより肩から手外してくれないかな
いつまでもこの距離で顔を見てたらさすがにきついよ
「あらそう。全くあの人は何もしなかったのね」
「あの人って、パパ?」
「そうよ」
「パパは悪くないよ。ルナが行きたくないって言ったんだ」
「ちょっとさく!!」
肩から手を離してもらえてホッとした
[さく]
さっくんのことだ
パパとママはいつもこうやって呼んでたっけ
「はい、なんでしょう」
「なんでしょうじゃないわよ!なんでこの子をルナを学校に行かせないの!」
「それは…」
「だから!ルナが行きたくないって言ったの!」
「本当なの?さく」
「…はい」
「まったく…ルナ、学校に行きなさい。さくもういいわ」
「失礼いたします」
そう言ってさっくんは出て行ってしまった
見放された気分だった
まるでこの人の見方のように
「関係ないじゃん。ルナがどうしようが。」
「あるわよ、あなたは私の一人娘なんだから」
「パパと離婚したくせに!」
「ルナ!離婚したのはね、仕方なかったのよ。離ればなれにならざるをえなかったの。」
騙されないんだから
そんな嘘
戻ってくるならパパがいるときに
戻ってきてほしかったよ
「寂しい思いをさせてごめんね?…だからちゃんと償わせて」
廊下から聞こえてくる足音
のそのそと入ってくる男の人
あの時この人の暴力を止めてくれた…
「こんにちは、ルナちゃん。」