秘密
第28章 悩
その男の人は「まさと」って言うらしい
「ルナちゃん。俺らと一緒に暮らさないか?」
この人まで…
「断ります。この家を出る気ないんで」
「まぁ立派な豪邸だもんなぁ。それならここで暮らそう。どうかな?」
「嫌です。」
パパとの思い出が塗り替えられてしまう気がした
「ルナ、なんでそんなにわがままなの」
「わがままなのはそっちでしょ?」
「なんでそういうんだい?」
「別にルナじゃなくていいじゃん。2人の子供作ればいいじゃん。今更…遅いんだよ…」
「はぁ…ルナが1人じゃ寂しいと思ったから「1人じゃないもん」
「え?」
「ルナにはさっくんだって航輝だってさとしくんだって嵐だっているんだから」
「でも家族じゃないでしょ?永遠が約束されてないじゃない」
永遠が…約束…されてない…
この人とルナが血が繋がっているのは事実で
この関係は永遠なのかもしれない
でもさっきあげた人たちはそうじゃないんだ
いつ見放されてもおかしくない
そういう存在…
「ルナちゃん、一緒に暮らそう。僕をルナちゃんのお父さんにしてくれないか?」
「それでも…それでも嫌だよ。ルナはここでさっくんといる。パパは1人でいいもん…。寂しくなんかないもん」
「もういいわ、帰りましょ、あなた」
「あ、あぁ…」
「また来るわ。その時までには決めておいてね」