テキストサイズ

過激BL短編集

第12章 たこ焼き〜外はさくさく中はとろとろ〜

「もうどうしよ、俺どうしたらいいんやろ」

俺は永野智(ながのさとし)。もう8年も売れない芸人をしている。

「そんなに焦んなよー。あれか?また相方と喧嘩でもしたんか?」
横にいる酒に酔ったおじさんは彼氏の相田実(あいだみのる)。おじさんって言っても、32だけど。

「喧嘩というかなぁ、うまく行かんからお互いぶつかるっていうか。今日もライブは満員にならんかったし」

机の上には空っぽになった缶ビールの残骸が無造作に置かれている。
2人とも酒に強いから、こんな量に。

「智はさ、暗い」
「は?」

芸人でもないくせに、ただの会社員のくせに。
と少しイラッとしてしまう。


「一時期テレビにちょっと出てた頃はさぁ、明るくて見てるだけで楽しかったんよ。今は目が死んでるっていうか」
「そんなん言われても…。俺かて暗くなりたいわけちゃうねん!」

つい声を荒げてしまう。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ