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にじいろ。

第20章 裏切りは蜜の味。

藤島が着ていたワイシャツとジャケットを
ダンボールに押し込んで別のジャケットを羽織る


藤島「聞かせてくれてよかったよ、幼馴染とのこと」

和也「えっ…?」


藤島「本当は
お前にも撃たせるつもりだったからな」



だから…俺を探してたのか




藤島「俺とお前でアイツを殺って
二人で逃亡るつもりだった

でも…一番戻りたかった場所に戻れたなら
もうその必要はない」




藤島はヒロムを憎んでいたのかな
俺は…俺はどうなんだろう



『あの人は今でもお前を愛してるよ、二宮』



藤島の言葉が蘇る

もしそれが本当なら
あんな風にしか人を愛せないヒロムが
不憫になった

あれがあの人の
歪んだ愛の形か…





藤島「着いたぞ」


河川敷にはバラックが幾つか立ち並んでいて
数人のホームレスがそこで生活をしていた


ダンボールを持った弟分を従えて
藤島がホームレスの元へ行くと
何やら交渉をしている

金を渡し
ダンボールを地面に置くと
ホームレスが灯油のようなものを撒いて
それに火を放った



壁一面に埋め尽くされていた俺の写真と
返り血の付いた藤島のワイシャツとジャケットが
燃やされて灰になっていく


全ての黒い過去が
消えてなくなっていった

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