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にじいろ。

第23章 にじいろ花火。

慣れないスーツに袖を通して
たくさんの大人に混じって
俺は表彰式に出席した。


『にじいろ花火というタイトルをつけた経緯をお聞かせ願えますでしょうか』
と聞かれて
『花火の炎が虹色だったからです』
と答えたら
会場からクスクス笑い声が聞こえた。

そんなに可笑しいこと言ったかな?



受賞した作品のコンセプトっていったって
俺はただ
自分が撮りたいと思ったものの一部を切り取っただけであって
頭でアレコレ考えてたわけじゃないし
だいたい、俺に気の利いたコメントとか期待しちゃダメでしょ。


受賞出来たことは嬉しかったけど
こういう形式ばった表舞台は苦手だ。




時計ばかりが気になる。
式を終えたら一旦事務所に戻って
近くまで来ている翔くんと落ち合って
寿司食べに行こうって約束したんだ。

記念すべき翔くんの写真撮影の前に
みんなより一足先に俺の受賞祝いをしたいって
翔くんが言ってくれて。





事務「お疲れ様、大野さん」

智「お疲れ様ですー」

事務「授賞式どうでした?」

智「ああゆうの、俺、苦手っすね」

事務「ふふっ。だろうね(笑)」


事務のおねーさんと軽く会話を交わしたあと
デスクに荷物を置いて
足早に翔くんの元へと向かった。

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