テキストサイズ

にじいろ。

第25章 赤と青のフォトブック。

〜 智Side 〜



所長「大野」


仕事を終えて帰り支度をしていると
背中越しに俺を呼ぶ所長の声がした。


智「はい!」


振り返ると
所長の手には現像を終えたばかりの写真。


智「それは?」

所長「ホラ、こないだスタジオで俺が撮ったやつ。」

智「所長自ら現像してくれたんですか?」

所長「あぁ。見てみろよ〜、よく撮れてるだろ?
特にこれなんか、」


所長が指差したのは
レインボーローズ越しに見つめ合う俺と翔くんの姿が写し出された写真で。


所長「どうだ。完璧だろ?」


ドヤ顔で腕を組んでる。

完璧…だけど、なんつーか…
写真から醸し出されてる、甘々な雰囲気に照れてしまう。


所長「櫻井くん、だっけ?
彼、イイ表情してるな」

智「そー…っすね、」


俺を見つめる翔くんの瞳は
レインボーローズが映し出されていて七色に見える。


所長「大野も。」

智「…俺も?」

所長「大野は普段こんな顔しないじゃないか」


言われてみればそうだ
愛しむような、表情。
翔くんしか知らない、俺の顔…





所長「お前まさか、櫻井くんと付き合ってんのか?」

智「えぇっ?!」

所長「何、動揺してんだ。
冗談に決まってるだろ?」


所長はガハハと笑って自身のデスクの椅子に座った。


智「これ、頂いちゃっていいんですか?」

所長「もちろん」

智「ありがとうございます、所長!」




自分で撮った写真と所長から頂いた写真の中から
コレと思うものを厳選して
俺はフォトブックを二冊作った。

赤いフォトブックは、翔くんへの誕生日プレゼントに。
青いフォトブックは、自分の宝物に。



翔くん、喜んでくれるかな。
喜んでくれるといいな。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ