テキストサイズ

にじいろ。

第25章 赤と青のフォトブック。

父「お前は良くても、彼の方はどうなんだ。
一人で空回りしてるんじゃないだろうな?」


翔「彼には…これから話すよ。
きっと、喜んでくれると思う。

…カメラマンなんだ。
今はまだアシスタントだけど…
コンテストにも出てて、賞も取ってるんだ。
フリーのカメラマンになって世界を飛び回るのが彼の夢なんだって」



父「カメラを…そうか。」



父さんの目がフッ、と優しくなって
そして遠くを見つめた。



翔「ねぇ、父さん。
伯父さんはどうして、自分が医者になるからって言ったの?
父さんが僕を櫻井病院の跡継ぎにするって言ったのは
どうしてなの…?」

父「どうしてだろうな…

あいつに聞いてみたらいい。
知りたいんだろう?…行って来なさい。」




結局、父さんからは何も聞くことができなかったけど
二人で北海道に行って来なさいと言ってくれた。

有り難かった。


ありがとう、父さん。
ありがとう、母さん。










― プルルルル プルルルル ―


智『もしもし、翔くん?』

翔「こんな時間にごめんね。寝てた?」

智『ううん。起きてた。
どうかしたの?』

翔「あのね…」


俺は
両親や伯父さんに智くんのことを話したと言った。
智くんは驚いていたけど
ちょっとホッとしたような穏やかな声で
『ありがとう。嬉しい…』
と言ってくれた。


頑張らなきゃな、俺。
電話を切ると、よしっ!と気合を入れて勉強机に向かい
参考書を開いた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ