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にじいろ。

第26章 輝かしい未来へ。

小園さんは
15年前、ばぁちゃんの家に戻って来て仕事を探していたおばさんに
『うちで働かないか』と声をかけてくれた人だった。
物心つく前だから覚えてはいないけど
俺とも、以前会った事があると言っていた。



小園「顔色が良くないなと声をかけたんだ
でも…いつものように明るく振舞っていたから…

無理をしていることに気付いてやれなかった…」


叫び声とおばさんの名前を呼ぶ職員の声に
何事かと駆けつけた時には既に
階段の下で頭から血を流して倒れていたそうだ。




“手術中”の赤いランプが消えると
俺たちは長椅子から立ち上がった。



雅紀「先生! 母は…!」

医師「幸い頭蓋骨や脳自体に損傷はありませんでしたので傷口の縫合のみで済みました」

雅紀「よかっ…」

医師「但し、頭を強く打っていますから
何かしらの後遺症が残る危険性はあります。」



雅紀「後遺症…」



まーくんは両手で顔を覆い
その場に蹲った。


和也「まーくん…」



俺だって辛い。
でも俺なんかよりまーくんの方がよっぽど辛いんだ。

泣きたい気持ちを無理矢理押さえ込んで
まーくんの背中をただ擦ることくらいしか出来なかった。

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