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0時の鐘が鳴る前に

第2章 100日間の恋人ごっこ

そんな事を思いながら、ちょっとだけ面白くも感じた。

俺も大概バカだ。

杏里がいないこの半年、つまらなかった日常に突然現れた馬鹿女は、俺が予想していた通りの頼みをしてくる。

『彼氏のフリしてくれませんかっ』

申し訳なさそうに手を合わせる彼女を見てたら、

少しだけ相手してやってもいいかな、なんて思えてきて…気づけば承諾していた。

条件は、杏里が帰ってくるクリスマス前日までに契約解消すること。

あと100日って数えちゃうくらいに大切に想っている杏里の存在を、カフェラテ女に教えてやるつもりはない。

実際、こいつには関係ないことだしな。

条件を聞いた彼女は、不思議がることもなく満面の笑みで快諾した。

『ありがとうございます!広末さんって、いい人ですね!』

そう言って笑う彼女とアドレスを交換して、帰路に着く。

『何て呼べばいいですか?浩太くん?』

俺のことを見上げて笑う彼女の姿が一瞬杏里と重なった。

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