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0時の鐘が鳴る前に

第3章 キラキラ、ふわふわ

上映が終わって外に出ると、いつの間にか日が沈んで暗くなっていた。


あれから絡めたままにしていた指は、当たり前のように握られたままで…


行きよりも近い距離で2人は歩き出す。
それにしても…

「広末さん…駅こっちじゃないですよ?」
「ん?…大丈夫だから」

大丈夫って…
行きも登りで帰りも登り、なんてある訳ない。

どんどん急になって行く坂道と、ひと気のない山道に戸惑っていると…

「…!」

突然視界が開けて、息を飲む。


連れて来られた丘の上には、光り輝く夜の街と

それに負けないくらい輝く本物の星空が広がっていた。


「き、綺麗〜〜っ!!広末さん、こんな素敵な場所知ってたんですね!」


不意打ちの絶景に、騒ぐ私を見て彼は微笑む。

「デートっぽいだろ?」

あぁ…本当になんでここまでしてくれるの?
こんなの、いくら演技でも…嬉しいに決まってる。

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