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0時の鐘が鳴る前に

第3章 キラキラ、ふわふわ

なにこれ……ドキドキ…って!ダメだ!
本来の目的と条件を忘れかけてハッとする。

「わ、私のためにありがとうございます…」

“絶対に、俺を好きにならないこと”

…大丈夫。こんな良い人との約束、絶対に破らない!

心の中で強く違って空を見上げる。

人工とは思えないくらい美しい星空がキラキラ光る中で

意思に反して、温かい大きな手とパーカーの香りに心がふわふわしてしまう。

チラッと隣を見ると、広末さんは本当に楽しそうな顔で上を見上げていた。

…なんでこの人は、見ず知らずの私の無茶なお願いを引き受けてくれたんだろう。

まだ知り合って一週間しか経っていない私たちは、お互い知らないことばかりだ。

深く知り合う必要は無いと思っていたし、迷惑をかけるのも必要最低限にして、極力関わらないようにしようと思っていた。

のに…広末さんのことをもっと知りたいなんて、迷惑だろうな。

ぼんやり考えながら手に力を込めると、広末さんも握り返してくれた。

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