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秘密中毒

第9章 お礼



「いやいや、無理だから!」

「鬼?鬼でしょ、山田くんて」

………

「こんなのどこにしまえばいいかわかんないし!」

………

「これってすてていいの?」


あたしの叫びに短い返事で指示を出しながら

ほんとに何やら調べている山田くん。



(休みの日も仕事、してるのかな………)


そんなことを考えながら、あたしはなんとか衣類を分類してたたみ、書類らしきものと古新聞や雑誌をまとめ、見えてきた床を拭いた。

山積みだった衣類は全部、空になっていた作りつけのクローゼットに入ってしまった。

迷子の靴下やビールの空き缶、どう使うのかわからない健康器具も出てきた。

ここまでで約2時間。時刻はお昼近くになっていた。


「はあ…なんかちょっと、片付いたかも…」




それにしても。

山田くんの散らかった部屋。

山田くんの匂いのする部屋。

パソコンの周りのたくさんの本。

山田くんのパンツ……。


(うわあ…ダメだ)


あたしは今日初めて知ったことを思い返しながら、

ドキドキが押さえられずにいた。


だから不意に彼が振り向いた時、


思わず背中を向けて顔を隠したんだ。


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