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秘密中毒

第9章 お礼



「んぁ、もう片付いたのか?」

山田くんの驚いたような声。

「俺もそろそろ手伝おうかと思ったのに」

「……」

(あたし今ニヤニヤしてた?顔も赤いかも?

とっさに後ろ向いちゃったけど…そうだ、手を洗おう!)


「う、嘘ばっかり!片付け終わったからそんなこと言うんでしょ~」

あたしは明るく言いながら、山田くんに背を向けたまま流し台に向かい、蛇口をひねる。


ザ――――――ッ

あたしは自分をおちつかせようと、勢いよく手を洗った。


そのときだった。




「怒ってんの?」

「ひあっ!」


いきなり耳たぶに山田くんの唇と

背中に彼の体温。


「お、怒ってない怒ってない!だから…離れて!」

流し台と山田くんに挟まれたあたしは身動きがとれない。


「じゃあなんでそっぽ向いてんの。」

「~~~っ」

みみが、あついよ…………


どうせまたあたしがドギマギしてるのを笑うつもりなんだ。

どうせ………


だけど山田くんは、あたしを後ろから捕まえたまま、耳元でこう言ったんだ。


「俺の遊び相手になれよ」



…………

……………………

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