和服男子に恋されて
第2章 アプローチ
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その後夕食を済ませ、一日の仕事を終えると弥子は風呂に入浴した。
龍一が決めたことにより、普段から弥子が龍一より先に入浴するのが白瀬(しろせ)家のルールで。
入浴を終えると寝着に着替え、自分の部屋で自由な時間を過ごす。
部屋は八畳のフローリングで、家具はベッドと衣装箪笥、テーブルや化粧机まで弥子が必要なものは殆ど揃えてあり、それも龍一が仕事初日に何が必要か調べ、与えてくれた。
そんな気遣いに溢れた部屋の中化粧机の前に座り、ドライヤーで髪を乾かしていると。
ドアがノックされ、廊下から声が聞こえてくる。
「弥子さん、すみません。少し良いですか?」
その声に不思議になり、椅子から立ち上がってドアの方へ近寄っていくと。
ゆっくりドアを開く。
そしてドアの前に立っている龍一に対し、質問する。
「……先生? どうされたんですか?」
「弥子さんに頼みたいことがあるんです」
「頼みたいこと……?」
弥子と目が合った途端にほんわかと微笑む龍一の頼み事の内容が弥子は気になりながらも、
「私の部屋に来て貰っても良いでしょうか」
そのまま龍一から続けて話し掛けられると、素直に頷き、龍一の部屋へと向かった。