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素晴らしき世界

第21章 嫌いの向こう側

俺はある時期からアイツが大嫌いなった。


俺はジャニーさんから直接電話があり、
『六本木のテレ朝でレッスンやってるから、
来ちゃいなよ』の一言で入所。

他の同期とは違い、面接などは無かった。

やっかむヤツは何人もいた。

俺はそいつらを見下していた。


俺は『特別』なんだと……


入所して一年後には主演舞台も務めた。

今考えれば少し調子に乗っていた
時期だったかもしれない。


「必要のない人」のドラマ撮影中、
ずっと漫画を読んでいた。

それでも、仕事は舞い込んでいたし、
難なくこなしているつもりだった。

でもある日、事務所の先輩である
東山さんに呼びだされ説教を食らった。


自分の認識の甘さ、
仕事への向かう姿勢を改めて考えた。


それから俺は、一生懸命努力した。

練習も人一倍したつもりだ。

やっかむヤツは相変わらずいた。

でも口ばっかりが一人前で、
努力をしようとはしなかった。


『だって、お前はお気に入りだもんな』


その一言で俺の努力を片付けられる。

でも、そいつらもいつの間にか
レッスン場には来なくなった。


努力しない奴は芸能界に居場所なんてない。

ましてやジャニーズJr.なんで腐るほどいる。

替えはいくらでもいるんだから。


でも、アイツだけはずっといた。

アイツの替わりなんていくらでもいるのに……

アイツより努力してる人はいるのに、
どうしてアイツが選ばれるんだ。


一緒に舞台を務めた時は
そんな事思ってもいなかった。

その時のアイツと俺は、
同じだったのかもしれない。


でも今の俺は違う。


違うからこそ腹が立つ。


いつか消える、いつかいなくなるって
ずっと思っていたのに……


アイツにも仕事が舞い込んでいく。


連ドラは俺が先に出演した。

その後、アイツも出演した。


けど、初主演は俺が先じゃなかった。

なんで、アイツが先なんだ。


でも、一番の大勝負は俺が勝つ。


デビューは俺が先だ。

努力しないアイツに
デビューなんてある筈がない。


俺は負けない


『二宮和也』に……

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