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素晴らしき世界

第1章 素直になりたい

もうすぐ潤くんの誕生日。

去年は付き合って
初めての誕生日だったので、
ちょっと豪華なレストランに行って
ディナーを食べた。


もちろん、俺のおごり。


世間ではケチだって言われるけど、
潤くんが喜んでくれるなら、
金額なんて気にしない。

今年はどうしようか考えてたら、
潤くんのスケジュールを
確認してないことに気がついた。

慌ててスマホをタップして電話した。

「もしもし潤くん?今、大丈夫?」

「大丈夫だよ、どうした?」

「30日のスケジュール聞きたくて」

「その日はCM撮影と取材、
コンサートの打ち合わせかな」

「そっか、会うの難しそうだね……」

「珍しいね。
和がスケジュール聞くなんて」

いつもきっちり者の潤くんが
俺のスケジュールも把握してて、
会える時間を見つけてくれる。

「だって、潤くんの誕生日だから……」

「あっ、そっか。忘れてた」

「大丈夫、また後日になっちゃ……」

俺の話を遮って潤くんが

「11時くらいに
和の家に行けるように頑張ってみる」

「えっ?」

「お祝い、してくれるんでしょ?」

「自分で言う?」

「してくれないの?」

「……したい」

「だったら、俺は和の気持ちに応えたい」


サラッとカッコいいことを言うんだよな。


「でも、無理はしないでね」

「わかった。30日まで
会えないけど楽しみにしてる」

「うん、じゃぁ」

「待って、和」

「ん?」

「好きだよ」

「……うん」

「じゃぁ、おやすみ」

いつも俺は恥ずかしくて
好きって言えない。


素直になれない自分が嫌だ。


潤くんの誕生日くらい
素直になろうかな……

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