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素晴らしき世界

第26章 勝手に挑戦、受けて立つ【交流戦第一試合(延長戦)】

「じゅっ……潤?」

「ぅん……」

戸惑っているカズの声が聞こえ、
夢見心地から現実に戻されていった。

ゆっくり目を開けると、
カズは目を真ん丸に見開いて
俺の事を見つめていた。


俺の顔に何か……ついてる?


微動だにしないカズが心配で、
俺は手を顔に伸ばした……ハズだった。


えっ?届かない?


短くない?俺の手。


細いけど、プニプニしてるような……


「えっ?えっ?」


寝ぼけているかと思って、
伸ばした手を目の前に持ってきて見つめる。

やっぱり見間違えじゃない。


子どもの手だ。


それに俺の声……


ゆっくりと喉元に手を当てた。


掌から凹凸を感じることが出来ない。



うっ、嘘だろ!



俺は自分の姿を確認するため
ある場所へと向かう。

ストンと何がが足元に落ちたけど気にしない。


姿見に映された自分の姿は
俺の予想した通りの姿だった。


「えぇぇぇぇぇぇ!!!」


けど、叫ばずにはいられなかった。


俺が寝ている時に着ていたTシャツは
ダボダボすぎるTになってる。


何よりも俺って……


「これ、こども……だよね?」


カズはゆっくりと頷いた。


「まじで……」


意味がわからない。

何で俺、子どもになってるんだ?


現実を目の当たりにして
一気に身体を疲れが襲う。

俺は取りあえずベッドに戻って腰かけた。

「うそだろ?なんで……」


今、これ以外に
発せられる言葉があるだろうか……


俺、何か悪い事したか?


とりあえず、昨日の出来事を振り返った。


カズとエッチして……

って、そこから振り返るか?


まぁ、仕方ないか。

カズはいつも自分の気持ちを表に出さない。


その性格を俺も十分に理解している。



けど、時々不安になるんだ。



言葉にして欲しい時もある。

甘えて欲しい時もある。


そして俺自身も……

曝け出したい時もある。


昨日は天邪鬼な性格をわかっているのに、
カズの言葉に凹んでいた自分がいた。


「あっ!」


その時、自分が発した言葉を思い出した。




『お月様お願いっ!俺を若返らせて』

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