素晴らしき世界
第28章 勝手に挑戦、受けて立つ【交流戦第三試合】
「ラスト1周、ファイト!」
校門の前でマネージャーが
ストップウォッチを持って叫ぶ。
俺の前に走るヤツは誰もいない。
昔は余裕で先頭を直走っていたけど、
今はそういう訳にもいかない。
チラッと後ろを振り返ると、
俺の後を追いかける後輩の姿。
あいつ……また早くなってる。
負けてたまるか!
心の中で負けん気の炎を燃やし、
それをエンジンに残っていた力を
振り絞ってひたすら走る。
汗が顔全体から噴き出し、
顎へと流れ落ちていくのが不快だし
それが目に入って少し沁みる。
けど、それを拭う時間さえ勿体無いと思う。
一秒でも早く……
「1位相葉先輩」
マネージャーの声が聞こえ、
俺は足を止めるとその場に大の字で仰向けになった。
口を大きく開いて、身体全体で
不足している空気を取り込んでいく。
「相葉先輩、クールダウンして下さい」
そんな事わかっているけど、
身体に力が入んないんだよ……
瞼さえ開けるのもままならない。
「2位二宮くん」
そんな状態でも耳はちゃんと機能していて、
マネージャーの声を聞きとる。
結構引き離したと思ってたのに……
ゆっくりと足音が近づいてきて
俺の前でピタッと止まる。
「相葉……先輩」
瞼を開けると、膝に手を置いて
前屈みで苦痛の表情を浮かべながら
呼吸を整える二宮の姿。
「お前……また、早くなった?」
「それを言うなら……相葉先輩ですよ。
俺なんて……まだまだです」
苦笑いを浮かべながら、
肩で顎に伝った汗を拭った。
「嘘つけ、お前……全然汗かいてねーじゃん」
「元々、汗かかないタイプなんですって」
余裕な感じの雰囲気が……ムカつく。
「2人共、クールダウンして下さーい!」
マネージャーが俺たちに向かって叫ぶ。
「次は……負けませんからね」
二宮が俺に向かって手を伸ばす。
「俺に勝とうなんて10年はえーよ」
ニヤっと笑って見せると、
ペチンと伸ばした手を叩いて自力で立ち上がる。
そして俺たちは並んで歩き、クールダウンをした。
校門の前でマネージャーが
ストップウォッチを持って叫ぶ。
俺の前に走るヤツは誰もいない。
昔は余裕で先頭を直走っていたけど、
今はそういう訳にもいかない。
チラッと後ろを振り返ると、
俺の後を追いかける後輩の姿。
あいつ……また早くなってる。
負けてたまるか!
心の中で負けん気の炎を燃やし、
それをエンジンに残っていた力を
振り絞ってひたすら走る。
汗が顔全体から噴き出し、
顎へと流れ落ちていくのが不快だし
それが目に入って少し沁みる。
けど、それを拭う時間さえ勿体無いと思う。
一秒でも早く……
「1位相葉先輩」
マネージャーの声が聞こえ、
俺は足を止めるとその場に大の字で仰向けになった。
口を大きく開いて、身体全体で
不足している空気を取り込んでいく。
「相葉先輩、クールダウンして下さい」
そんな事わかっているけど、
身体に力が入んないんだよ……
瞼さえ開けるのもままならない。
「2位二宮くん」
そんな状態でも耳はちゃんと機能していて、
マネージャーの声を聞きとる。
結構引き離したと思ってたのに……
ゆっくりと足音が近づいてきて
俺の前でピタッと止まる。
「相葉……先輩」
瞼を開けると、膝に手を置いて
前屈みで苦痛の表情を浮かべながら
呼吸を整える二宮の姿。
「お前……また、早くなった?」
「それを言うなら……相葉先輩ですよ。
俺なんて……まだまだです」
苦笑いを浮かべながら、
肩で顎に伝った汗を拭った。
「嘘つけ、お前……全然汗かいてねーじゃん」
「元々、汗かかないタイプなんですって」
余裕な感じの雰囲気が……ムカつく。
「2人共、クールダウンして下さーい!」
マネージャーが俺たちに向かって叫ぶ。
「次は……負けませんからね」
二宮が俺に向かって手を伸ばす。
「俺に勝とうなんて10年はえーよ」
ニヤっと笑って見せると、
ペチンと伸ばした手を叩いて自力で立ち上がる。
そして俺たちは並んで歩き、クールダウンをした。