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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

「はぁー」


普通、溜め息って意識しないうちに
出てるんだと思うんだけど……

これ、何度目だろう。


「相葉さん、大丈夫ですか?」

いつもと違う様子の俺に、
マネージャーが気づかないわけがない。

運転してくれているマネージャーが
ミラー越しにチラッと俺の様子を見た。

「ん、大丈夫。ゴメンね?」

「いえ、12月はスケジュールが
詰め詰めになるので疲れますし。
あの記事も……すみません」

前を向いているので表情はわからないが、
きっと責任を感じてる。

こればっかりはマネージャーレベルで
どうにかできる話じゃない。


でも、このタイミングは痛すぎる。


年末年始になるとどうしても
ジャニーズってのはターゲットになる。

大きなスキャンダルを
ハイエナの様に狙ってる。


俺なんかに張り付いたって何もない。

いや、あるか。


ニノと付き合ってるんだから……


だからと言って、
2人での行動がスキャンダルになる事はない。

仲が良いってのは周知の事実だし、
どっちかの家に通ってたって
何の違和感もない。

実際、紅白の司会に決まってからは
ニノが家に入り浸りだったけど
記事になる事はなかった。


スキャンダルとは遠い位置にいる俺なのに……


5年越しの彼女って何?


ニノとはそれ以上ですけど。



トイプードルを散歩させる彼女?


トイプードルを
散歩する女性の間違いじゃない?


俺だってその女性を知らない訳じゃない。

それに知っているって言っても、
すれ違った時に挨拶する程度。


彼氏は俺じゃなく、違う階の人だ。

俺は同じエレベーターに乗って
違う階に2人で降りる姿をこの目で見たぞ!

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