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素晴らしき世界

第38章 ニノちゃんの鬼退治

靴を脱ぎ捨てて、
一目散に寝室に向かう。

ドアを勢いよく開けると、
鞄からあるものを取り出し封を切る。

「んっ……かず?」

「智のバカー!!!」

袋の中身を掴み、智に投げつける。

もうすぐ節分だからと
スタッフさんから貰った豆だ。

「痛っ……ちょっ、やめ……痛い!」

「いつもいつも寝てんじゃねー!」

怒りを豆に込め、投げ続ける。

「ストップ……もう、終わり!」

ベッドから飛び起き、豆を食らいながら
駆け寄るとそのまま俺を抱きしめた。

「そんなに寝たきゃ、
豆食らっても寝てろ……バカ」

「あのな……」

智が溜め息をついた。


つきたいのは俺だよ……


「俺も寝たくて寝たい訳じゃねーぞ」

「じゃあ、何で……」

思わず身体から離れると、
智が俺の頬を包む。

「毎日、家で好きな人に触れると
抱きたくなるだろ?」

「えっ?」

その瞬間、智の唇が俺のそれと重なる。

すぐに智の舌が俺の口内に入り、
舌を絡め取られる。

久しぶりのキスに
身体の熱が一気に上がり、
力が抜けて床に膝から崩れ落ちる。

すると智はしゃがみ込み、
俺の顎を掴むと上を向かせた。

「かずの望み通り……起きててやるよ」

智がニヤリと笑った。

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