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素晴らしき世界

第38章 ニノちゃんの鬼退治

【VS妄想鬼】


仕事が終わり、
晩御飯を買いにスーパーに向かう。

閉店間際で、残った総菜には
割引シールが貼られている。

適当に見繕いレジに向かおうとしたら、
ワゴンに乗った巻き寿司が目に入る。


今日は節分か……


確か、関西の方では無言で
1本丸かじりで食べるんだよな。

前に松潤も
撮影中にしたって言ってたな。


豪快に食べるのも……悪くないか。


俺の分と家で待つ
可愛い恋人の分をカゴに入れた。


でも、待てよ。

アイツは小食だから1本は食べきれない。


切って食べれば……問題ないか。


そう思った時、展示されていた
恵方巻の食べ方と意味を見つけ、
それを何となしに読んだ。

①今年の恵方を向いて食べる
②無言で願い事をしながら食べる
③一気に最後まで食べきる

切り分けずに丸かぶりするのは、
「(良い)縁を切らないように」
という意味があると書かれてあった。

ただし、かぶりつく前に
食べれる分だけ切るのは問題ないらしい。

けど長い太巻きを食べることに
縁起があるから短く切りすぎず、
ある程度の長さはあった方がいいらしい。

結局、どっちなんだよ!


でも、縁を切らないという意味……

やっぱりそこは守りたい。


俺とアイツとの縁を……


そしてずっと一緒に
過ごしていきたいと願いながら食べたい。


アイツもきっと同じように思ってくれる。


同じ……一緒に……


あっ、そうか!この手があった!

これなら、切らずに食べれるぞ。


それに……

想像したらニヤケてしまったので、
慌てて口を手で隠した。


早く帰るぞ。


俺は1本をワゴンに戻し、
レジへと早足に向かった。

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