素晴らしき世界
第39章 愛と浮気のチョコレートケーキ
「ふー、終わったぁ」
椅子の背もたれに身体を預け、大きく伸びをすると目に入ったのは定時を少し回った時計。
もう、こんな時間か。
次の仕事の資料を確認する。
これに手をつけたら1時間はかかるな……
俺は出来上がった書類を持って国分課長のデスクに向かった。
「確認、お願いします」
『ん』
パソコンに目を向けたまま手を伸ばす先に資料を渡すと、そのままザッと目を通していく。
『うん、これでいい』
顔をあげ、にっこりと微笑む国分課長。
「ありがとうございます」
『今日はこれであがるのか?』
「はい、そのつもりですが……」
デスクに戻る俺を呼び止めるので恐る恐る後ろを振り返った。
まさか……残業なんて言いませんよね?
『そんな怖い顔するなよ』
「えっ?」
「どうせ彼女が待ってるんだろ?」
苦笑いを浮かべたと思ったら、揶揄う様に笑って見せる。
「はい」
俺は何の迷いもなく正直に答える。
あの時はこんな風にはっきり返事なんて出来なかったよな。
『幸せそうに笑いやがって』
「課長こそ、仕事終わりですよね?」
『な…っ、なんでわかる』
慌てる姿に思わず吹き出してしまった。
「頬、緩んでますよ」
『マジか……』
ペチンと手で頬を叩く。
『何ですか?2人してニヤニヤ笑って』
後輩の加藤が出来上がった資料を持ってこちらに近づいてきた。
『別に……なっ?』
「はい」
目を合わせて2人で笑って見せる。
「俺にも教えてくださいよぉ。あっ、じゃあ飲みに行きましょ?」
「『ダメ』」
「2人して断らなくても……」
しょんぼりと肩を落とす加藤。
昔は国分課長からしつこいくらい誘っていたのに……
人は変わるもんだな。
『わかった、来週は行こう。なっ、大野』
「はい、行きましょう」
「言いましたよ、約束ですよ!」
嬉しそうに俺たちを指差しながら交互に見つめる。
おい、年上に対して失礼だぞ。
まぁ、来週は付き合ってやるか。
「では、お疲れ様です」
『お疲れ』
『お疲れ様です!』
デスクに戻ると、帰る準備を急いだ。
椅子の背もたれに身体を預け、大きく伸びをすると目に入ったのは定時を少し回った時計。
もう、こんな時間か。
次の仕事の資料を確認する。
これに手をつけたら1時間はかかるな……
俺は出来上がった書類を持って国分課長のデスクに向かった。
「確認、お願いします」
『ん』
パソコンに目を向けたまま手を伸ばす先に資料を渡すと、そのままザッと目を通していく。
『うん、これでいい』
顔をあげ、にっこりと微笑む国分課長。
「ありがとうございます」
『今日はこれであがるのか?』
「はい、そのつもりですが……」
デスクに戻る俺を呼び止めるので恐る恐る後ろを振り返った。
まさか……残業なんて言いませんよね?
『そんな怖い顔するなよ』
「えっ?」
「どうせ彼女が待ってるんだろ?」
苦笑いを浮かべたと思ったら、揶揄う様に笑って見せる。
「はい」
俺は何の迷いもなく正直に答える。
あの時はこんな風にはっきり返事なんて出来なかったよな。
『幸せそうに笑いやがって』
「課長こそ、仕事終わりですよね?」
『な…っ、なんでわかる』
慌てる姿に思わず吹き出してしまった。
「頬、緩んでますよ」
『マジか……』
ペチンと手で頬を叩く。
『何ですか?2人してニヤニヤ笑って』
後輩の加藤が出来上がった資料を持ってこちらに近づいてきた。
『別に……なっ?』
「はい」
目を合わせて2人で笑って見せる。
「俺にも教えてくださいよぉ。あっ、じゃあ飲みに行きましょ?」
「『ダメ』」
「2人して断らなくても……」
しょんぼりと肩を落とす加藤。
昔は国分課長からしつこいくらい誘っていたのに……
人は変わるもんだな。
『わかった、来週は行こう。なっ、大野』
「はい、行きましょう」
「言いましたよ、約束ですよ!」
嬉しそうに俺たちを指差しながら交互に見つめる。
おい、年上に対して失礼だぞ。
まぁ、来週は付き合ってやるか。
「では、お疲れ様です」
『お疲れ』
『お疲れ様です!』
デスクに戻ると、帰る準備を急いだ。