
素晴らしき世界
第39章 愛と浮気のチョコレートケーキ
『行きません。松岡食堂にいます』
和也はきっぱりと断言した。
「でもあの店、有名だし……和也も働きたかったから就職、そこに決めたんだろ?」
戻って欲しくないのに、何でこんな事を言っているんだろうって自分でも思う。
でも引き留められたって事は、アイツに実力を認められたって事。
笑顔になるなら、それを嬉しいと思うなら、そこで働くのが一番じゃないのか?
『就職が決まった時は、櫻井さんのお店で働けることを嬉しく思ってました』
「じゃあ……」
『でも、今は違います』
俺の言葉を遮って和也が話し出す。
『今の俺には松岡食堂が大切な場所だから……』
和也が俺の手をギュッと握りしめた。
『俺と智を……再び出会わせてくれた場所だから』
そっか……
和也に言われて思い出した。
潤に誘われて訪れた松岡食堂。
そこで名前もわからず消えてしまった、恋人の作った料理に再会した。
それから名前を知って……
再び和也に恋をして……
今、恋人として和也がここにいる。
『智にとって松岡食堂は、大切な場所じゃないんですか?』
答えなんて考えなくても決まってる。
「大切な場所だよ。だけど……」
俺は和也をギュッと抱きしめた。
『和也がいてこそ……大切な場所になる』
『俺も智がいてこそ、大切な場所です』
和也も俺の背中に手を回し、ギュッと抱きしめてくれた。
久しぶりの和也の身体の温もりに浸っているけど、何か重要な事を忘れている気がする。
『嬉しかった……です』
「えっ?」
『ヤキモチ妬いてたんですよね?櫻井さんに』
嬉しそうに頬を緩ませ上目遣いで俺を見る。
ヤバい、勘違いとはいえ恥ずかしい。
「それは……相葉くんも松にぃも、櫻井さんも変な言い方するから……」
ん、待てよ?
「元はと言えば、和也が黙って櫻井さんのお店に行ってたからでしょ?言ってくれれば勘違いしなかったのに」
『それは……』
プルルッ…
和也のスマホが鳴った。
ポケットから取り出すと画面には『櫻井さん』の表示。
何もないと思っていてもモヤっとする。
でも和也は気にすることなく、電話に出た。
『もしもし……はい、ありがとうございます』
「和也っ、どこ……」
俺の伸ばした手は空を切り、和也は外へと出ていってしまった。
和也はきっぱりと断言した。
「でもあの店、有名だし……和也も働きたかったから就職、そこに決めたんだろ?」
戻って欲しくないのに、何でこんな事を言っているんだろうって自分でも思う。
でも引き留められたって事は、アイツに実力を認められたって事。
笑顔になるなら、それを嬉しいと思うなら、そこで働くのが一番じゃないのか?
『就職が決まった時は、櫻井さんのお店で働けることを嬉しく思ってました』
「じゃあ……」
『でも、今は違います』
俺の言葉を遮って和也が話し出す。
『今の俺には松岡食堂が大切な場所だから……』
和也が俺の手をギュッと握りしめた。
『俺と智を……再び出会わせてくれた場所だから』
そっか……
和也に言われて思い出した。
潤に誘われて訪れた松岡食堂。
そこで名前もわからず消えてしまった、恋人の作った料理に再会した。
それから名前を知って……
再び和也に恋をして……
今、恋人として和也がここにいる。
『智にとって松岡食堂は、大切な場所じゃないんですか?』
答えなんて考えなくても決まってる。
「大切な場所だよ。だけど……」
俺は和也をギュッと抱きしめた。
『和也がいてこそ……大切な場所になる』
『俺も智がいてこそ、大切な場所です』
和也も俺の背中に手を回し、ギュッと抱きしめてくれた。
久しぶりの和也の身体の温もりに浸っているけど、何か重要な事を忘れている気がする。
『嬉しかった……です』
「えっ?」
『ヤキモチ妬いてたんですよね?櫻井さんに』
嬉しそうに頬を緩ませ上目遣いで俺を見る。
ヤバい、勘違いとはいえ恥ずかしい。
「それは……相葉くんも松にぃも、櫻井さんも変な言い方するから……」
ん、待てよ?
「元はと言えば、和也が黙って櫻井さんのお店に行ってたからでしょ?言ってくれれば勘違いしなかったのに」
『それは……』
プルルッ…
和也のスマホが鳴った。
ポケットから取り出すと画面には『櫻井さん』の表示。
何もないと思っていてもモヤっとする。
でも和也は気にすることなく、電話に出た。
『もしもし……はい、ありがとうございます』
「和也っ、どこ……」
俺の伸ばした手は空を切り、和也は外へと出ていってしまった。
