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素晴らしき世界

第7章 優しいサンタクロース

シチューとサラダをテーブルに並べる。

和がシャンパンを
注いでくれたグラスを持ち

ニ「雅紀、お誕生日おめでとう」

「ありがとう、和」

グラスが触れ、
綺麗な音色が部屋に響いた。

「うんめー」

俺は、一気にシャンパンを飲み干した。

ニ「もう、ビールじゃないんだから」

2人で笑い合った。

ご飯を食べながら
他愛もない話をする。

ケーキがなくたって、
こうやって和と二人で過ごせるだけでいい。

ベタだけど、何を食べるかじゃなくて、
誰と食べるかが大切だって改めて思った。

それに改めて気づかせてくれた
あの女の子に感謝しなきゃな……

ニ「ごちそうさまでした」

和がキレイにご飯を平らげた。

お皿を片付けようとしたら

ニ「俺、やるから休んでて」

「いいよ、手伝う」

ニ「主役は休んでなさい!」

「ありがとう、和」

片付けが終わると和が振り返り

ニ「ちょっと目、瞑ってて」

「えっ?何で?」

ニ「いいから、早く!」

俺は、言われるがまま目を瞑る。

ガサガサと音が聞こえるが
何をしているかわからない……

そして、パチッと電気が消える音が聞こえた。

ニ「もう、いいよ!」

目を開けると、ショートケーキが2つ。

それぞれに、
『3』の火の点いたロウソクが刺さっていた。

「ほら、早く火を消して!」

俺は、息を吹き掛け火を消した。

刺さったロウソクを外して、
メッセージつきのクッキーを乗せた。

ニ「お誕生日、おめでとう雅紀」

テーブルから身を乗り出して、
チュッと俺にキスをした。

呆気にとられる俺の顔を見て
和が吹き出した。

ニ「カッコいい顔が台無しだよ」

「どうしたの、これ?」

ニ「スタッフの人に貰ったの。
断らなくて良かった。さっ、食べよ」

小さなケーキだったけど
お腹も心も満たされた。

「ごちそうさま、和」

ニ「いいえ、どういたしまして」

ソファーに移動し、2人で寛ぐ。

「ねぇ、和」

ニ「ん?」

こっちを見た和にチュッとキスをした。

「ねぇ、もっとしてもいい?」

真っ赤になった和が頷く。

「もう、止まらないよ」

ニ「いいよ、雅紀が欲しい……」

俺は和をお姫様抱っこして
寝室に向かう。

サンタは俺の願いを叶えてくれた。

和との甘い幸せな夜を
俺にプレゼントしてくれた。

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