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素晴らしき世界

第12章 サプライズ大作戦

「智」

智「ん?翔も来たの?」

タオルを頭に置いて
リラックスモードの智が振り返る。

俺も大きな湯船に足をつけた。

「あっちぃ!」

智「これくらい熱くないよ。
まだまだ、お子ちゃまですな」

手でお湯をすくい、
顔をバシャバシャと洗う。

智「ふぅー」

智は夜空を見上げる。

「俺がお子ちゃまなら、智はおっさんだね」

智「何とでも言ってくれ」

隣に座る智の顔を見つめる。

嘘だよ……

やっぱり智はカッコいい。

「ありがとう」

智「何が?」

「雅紀と潤に聞いた。
旅行って言ってくれたの智だって」

智「だって欲しいもの聞いても、
何もないって言うし……焦ったよ 」

「ごめんごめん」

智「でも、翔が喜んでくれて良かった」

智を見つめていた俺と目が合う。

そして、ゆっくりと顔が近づいてきた。

俺は唇を手でパチンと叩いた。

智「えぇー、今するタイミングでしょ?」

口を尖らせ拗ねる智に
どうしても言いたいことがあった。

「誕生日はすごく嬉しかったけど、
俺、怒ってることがある!」

智「えっ?なになに?」

「写真。何で入らなかったの?」

智「そっ、それは……」

「家族じゃないから?」

智は俯いてなにも言わない。

「血が繋がってなくたって、
智は家族だよ!俺だけじゃない、
雅紀や潤や和も同じ気持ちだから。
二度とあんなことしないで……」

怒っていたのに、だんだん悲しくなってきた。

智「ごめん……もうしない。約束する」

俺の頬を智の手が包み込む。

「絶対だよ。もし、次したら別れるからね」

智「えっ?嘘、嫌だよ!
もう、絶対絶対しない!神様に誓う!」

そんなに焦らなくても大丈夫。

絶対に別れないからね。

逃げたって、絶対に捕まえてやる。

俺の大切な恋人、そして家族……

「智」

今度は俺が智の頬を手で包んだ。

「好きだよ……」

そっと、唇に触れた。

智「翔、俺も好き……」

智の顔が近づいてきて、目を閉じた瞬間

和「しょうにぃとさとし、みーつけた!」

俺たちは慌てて、顔を離した。

露天風呂の入り口に立つ和の後ろから
雅紀と潤が顔を覗かせる。

二人だけの夜は、お預けを食らった。

智「みんな、一緒に入ろう」

和「はーい」

今は家族として過ごそうね……智。

でも、二人だけの夜は、恋人にしてね。

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