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素晴らしき世界

第13章 壁越しの想い

【翔side】

ニノが驚いて振り返った。

俺は気づかないフリをして隣に座った。

その間、目線はずっと俺を追いかけていた。

「はい、どーぞ」

缶ビールをニノに渡すと、
何も言わず缶ビールを受け取った。

俺は缶ビールを開けて、
一気に喉に流し込む。

頭で考えるな……

今の思いを伝えるんだ……

けど、ニノを目の前にしたら
言葉より身体か先に動いた。

俺はニノを抱きしめた。

ニ「えっ?翔さん、どうしたの?」

慌てて俺から離れようとするニノ。

「ねぇ、このまま聞いて……」

俺の言葉にニノは動くのを止めた。

「俺は、ずっとニノが好きだった」

ニ「えっ?」

和が俺を見上げているのがわかった。

でも、リアクションを知りたくなくて
顔を見ることが出来なかった。

「でも、男だしメンバーだしって言い訳して、
その想いに蓋をしていた。
そのくせ、一人前に嫉妬してた」

ニ「嫉妬?」

「うん、相葉くんに……
付き合ってるんじゃないかって……」

ニ「それは違うよ!だって俺は……」

急に言葉の語尾が小さくなっていった。

「ごめん……聞き取れなかった」

俺は勇気を出して
ニノの顔を見下ろそうとした、

ニ「見ちゃダメ!」

「はっ、はい!」

俺は慌てて、正面を向いた。

ニノの顔が赤かった気がした。

すると俺の胸にニノが頭を埋めた。

今なら見下しても気づかないよね?

ニ「俺も翔さんが好き」

ニノが顔を上げて呟いた。

ばっちり俺と目が合っている。

「ホントに?」

ニ「えっ?何で俺の事を見てるの!」

「いや……下向いてるから
バレないかなって……」

ニ「もう、最悪だよ!」

俺の身体から離れて近くにあった
クッションに倒れ込み顔を埋める。

「ニノ、こっち向いて」

俺の言葉に首をブンブン横に振る。

俺は勢いよくニノの身体を起こし、
クッションを奪い取った。

「ちゃんと俺を見て」

両手でニノの頬を包み込んだ。

「好きだよ……ニノ」

ニ「翔さん……」

ニノの目から涙が零れた。

その涙に俺はキスをした。

すると、ニノは俺の飲みかけの
缶ビールを飲んだ。

ニ「帰れないね……」

「うん」

ニ「誕生日、おめでとう翔さん」

チュッとキスをしてくれた。

「ありがとう」

最高の誕生日プレゼントを
俺は貰うことが出来た。

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