テキストサイズ

オムツン

第28章 二十八枚目

まわりに人がいないことを確認して、私達は素早く身障者用便所に入った。

すごく広くて清潔で設備が整っていた。

「ねえ、マリさん…大丈夫?」

マリはボーッとしたままだ。

「…もうやめておこうか?つらそうだしさ……ここならおむつを脱いで棄てて帰れるしさ…」

正直言って、私はマリには風俗は不向きかもしれない…と思っていた。

ここでサヨウナラした方が彼女にとって幸せかもしれない、と思っていた。

「ねぇ…もう今日は…」

「主人はあの女と寝た…っていうことですね?」

マリが私の言葉を遮って、尋ねた。

「え?…ああ、まあ、その…あれだ、映画館もあるし、映画観てたかもしれない…な」

マリが私を睨み付ける。

そんなことないだろ!と言わんばかりに。

どうして私が他人の浮気について言い訳したり、怒られなきゃいけないんだ?






ストーリーメニュー

TOPTOPへ