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オムツン

第31章 三十一枚目

会長室は広く眺めが良かった。

初老の男性が待っていた。

会長は、社長とは対照的で、白髪、着物を羽織り、大柄な体格に鋭い目付きをした迫力の人だった。

「神山テンドウだ。よくきてくれた」

低い声に凄みがあった。

コウスケさんと私をゆっくり見る。

「君達の働きは聞いている。ご苦労だった」

それからゆっくり右手を出して握手を求めてきた。

コウスケさん、次に私。

会長の手はゴツゴツしていて力強かった。

会長は私の手を握り、私の目を見ながら言った。

「ワシは恩義にせよ、何にせよ、受けたものは必ず返すことにしている…必ず…だ」

グッと、会長の手に力が込められた。

「…これからもよろしく頼む」

会長が手を離すと、それだけ言った。

私とコウスケさんは頭を下げて会長室を出た。

私は腋や手の平に変な汗をかいていた。



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